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大会長挨拶

第68回日本実験動物学会総会
大会長 今井 良悦(武田薬品工業株式会社)

このたび、公益社団法人日本実験動物学会の定期学術集会である第68回日本実験動物学会総会(大会)を2021年5月19日(水)~21日(金)の3日間Webで開催させていただくことになりました。当初、東京で例年のような対面集会を計画致しておりましたが、新型コロナ感染症の状況を鑑みWeb開催とさせていただきました。

厚生労働省における『動物実験等の実施に関する基本指針』の前文にもありますように「生命科学の探究、人及び動物の健康・安全、環境保全等の課題の解決に当たっては、動物実験等が必要かつ唯一の手段である場合があり、動物実験等により得られる成果は、人及び動物の健康の保持増進等に多大な貢献をもたらしてきた」ことは、明らかです。今後、AIなどの進化によっても実験動物の必要性や生命科学、特に医療、創薬などへの貢献への重要度は変わらないのではないでしょうか。そのような視点から今大会におけるテーマを『医薬に貢献しつづける実験動物』といたしました。

新型コロナウイルス感染症の病態、治療、予防などの研究においても実験動物が大きく貢献していることは我々実験動物に関わるものとしてその重要性を再認識できたのではないでしょうか?それを踏まえて「COVID-19研究に有用な小動物モデル」について安田二朗先生(長崎大学熱帯医学研究所)に特別講演をお願いいたしました。また、近年『持っていない微生物が明らか』というSPF動物の定義がいつの間にか『持っている微生物が明らか』な方向に行きつつあるように思われることから、再度SPFとはなにか?を考えるチャンスとし、「飼育環境と腸内細菌」について伊藤喜久治先生(日本エスエルシー(株))に教育講演をお願いしております。その他、8つの幅広いテーマのシンポジウム「AI・ビックデータ創薬の現状」、「実験動物を支える飼料の役割とは」、「ゲノム編集とヒト化動物」、「どこまで可能か? AI/自動化と実験動物管理」、「創薬における動物実験」、「睡眠、生物リズム、冬眠研究の最前線」、「ホストは固有か共通か?何が大事?」、「コロナウイルス感染症の実験モデルと選択」を企画しています。一般演題の発表に加えて、従来通りLASセミナー、ランチョンセミナーおよびアフタヌーンセミナーも計画しています。器材展示につきましては、日本実験動物器材協議会のご協力により、Web上での開催ですが一部対面に近いものも提供できればと考えております。

今回、Web開催ということで、発表形式につきましては、多くの演題はオンデマンド方式を採用しました。集会という形を取れませんでしたが、反面、事前登録いただいた方にはご都合の良いときに視聴いただけるという利点もありますので、是非、みなさまの積極的なご参加をお願い致します。また、一部のシンポジウム、ランチョンセミナー、アフタヌーンセミナーにつきましては、ライブ配信を計画しています。こちらは集会に近いリアルタイムでの発表になるかと思います。

Web開催は日本実験動物学会としては初めての試みであり、試行錯誤での準備をしております。みなさまのご協力、ご参加によりWeb大会を盛り上げて頂きたくお願い申し上げます。

令和3年3月